1998年1998
危ない話
平成9年のことである。
警察庁は個人に支給している国費の捜査費が、個人に分配されず県警本部でプールされている事実を重く見て、個人の銀行口座に直接振り込むことを決定した。
慌てたのは県警本部である。個人に振り込まれると、金がプールできなくなる。
知恵を絞ってある方法を考え出した。
刑事部では新しい銀行口座を作らせ、印鑑・通帳・キャッシュカードを回収した。キャッシュカードの暗証番号は、誕生日にしろという命令とともに。
回収した通帳とキャッシュカードは、庶務係が預かり、毎月ATMから引き下ろしては裏金としてプールした。
その後、北海道警の方面本部長の裏金告発があってから、平成13年5月、通帳を新しいものにして個人に返却した。
その間の口座明細を取得したところ、次のような金額が一個人の口座に振り込まれていた。これはあくまで国費の捜査費であり、県費の捜査費と合わせると、膨大な金額の金がプールされていたことを意味する。当然、捜査員個人は受け取っていない。
一人でこの金額だから、県警全体にプールされた裏金は、相当なものだろう。
だれがこの金を管理し、この金をどのように使っているのかは、私は知る余地もない。
平成9年
12月 4,866円
5,008円
平成11年
4月 5,950円
6月 14,480円
7月 14,450円
8月 11,900円
9月 11,900円
19,080円
19,900円
10月 29,750円
11月 7,580円
10,040円
県費の捜査費はどうするか。
簡単である。架空の協力者に捜査費を支払ったことにして、伝票を作るだけ。これを、「こなし」と呼んでいた。当然支払われるべき金額は組織で管理することになる。こなしリストには、いつ、どの捜査員が、架空のこの人に、いくら支払ったかエクセル形式でのデータで管理していたが、危ないので今は弁護士に預けてある。