今月の出来事
今月は監査だってさ。そのため庶務の人達は遅くまで残ってお仕事です。そのしわ寄せがこっちにもくる。
例えば、公用車の運転日誌を書けと、何百枚もの用紙の束を持ってきやがった。
用紙には既に行き先や距離が鉛筆で書かれている。その通りにボールペンで書けとさ。用紙には行った事もない場所が書かれている。まさに偽造のお手伝い。
土日に仕事しても出勤簿上は休み。だから土日に公用車使ったら、その距離は平日に上乗せする。そして全てにつじつまが合うように、庶務の人が考える。全てとは、出勤簿と出張命令簿、車両の点検簿などなど。
夏休みで休んでるのに、日誌のうえで車運転してるような矛盾が、一つでもあってはならないからね。
そもそも車は使ったように、書類書けばいい。休日でも仕事すれば、したように出勤簿を作ればいい。一つうそを作ると、そのうそを本当に見せるのに、又別のうそをつかなければならない。
これが、今のうちの会社の最大の汚点。これは将来に渡って、絶対変わる事はない。なぜなら、もし事を改めようとしても、「今まで全てうそでした」と、誰かが言わなければならないから。
そんな勇気ある偉い人は誰もいない。せっかく偉くなっても、その名声を捨て、本当の正義を押し通す人なんていないからね。たまに下っぱの人で、うちの会社辞め、暴露本出す人いるけど、勇気いると思うね。
その人は一生、警備対象者になり、公安の刑事に付きまとわれるんだから。私は、ただただ気が弱いから書類の偽造を手伝うのであった。
それにしても、うそで固めておりた予算は一体誰が使うのでしょうか。署長なりが全部使えるわけではない。
まず予算の何割かを本部会計課が吸い取る。何に使ってるかはわからないけどね。そしてきた予算も、自分の上の組織に上納する。まったくやくざの組織と同じ。
だから所属が自由になる予算は、結構限られ、当然のことながら仕事で使う金など、全くない。みんな自腹。まいったねえ。
またまた急に、えらい人に呼ばれ、「明日から現場にいけ」と言われる。
人が足りないから、張り込み要員だってさ。
夜中に事務所に忍び込んで、金庫をこじ開けるヤツがいる。4-5人がつるんでやるんだけど、そのうちの一人がわかっているので、そいつを尾行し、共犯者と会うところを見つけ、その共犯者を尾行し、どこに住んでいる、何というヤツかを調べるという、高度な作業。
ヤツは夕方目を覚ます。住んでいる場所は市営マンション。親と同居。
いつものパターンでは、夕方家を出て、近くの月極駐車まで歩いて行き、車に乗って出発。
繁華街、XX街を走り回り、途中で友達と会って食事したり、カラオケ行ったり、女を車に乗せて家に送りに行ったり。
そして午前4時ころ帰宅する。
だからこっちも同じリズムで生活する。
夕方起きて、ヤツの家に行き、駐車場の前で車2台で張り込む。
ヤツの車が発進したら、2台で追う。
車の尾行は結構難しい。相手の車の後ろについて行くけど、何度か路地を曲がると、それ以上追尾するのは相手から見て不自然。だから何回目かの右左折で、こっちはそのまま直進し、もう一台の車にまかせる。そして、もう一台が何度目かの右左折を直進したら、今度はこっちの車がヤツの後ろにつく、というのを、永遠と繰り返す。当然信号が赤だとか、スピードが何キロとか、気にしてはいられない。
しかし、どんなヤツもそんなにアホじゃない。
どんなに深夜でも、ミラーで見て必ず自分の車の後ろに車がいて、しかもいつも同じ車種だと「何かおかしい」と感じはじめる。
尾行を開始して2週間、ヤツの動きがおかしくなってきた。
路地に急に停車したり、狭い路地に急に入るような行動を繰り返す。
あたかも、尾行を確認するような行動。
更に、駐車場からマンションに帰る経路も、わざと遠回りして様子を見まわしながら歩いたり、家に帰っても、窓を開け、外を見まわした。
本格的におかしいと、思ってきたようだ。
(この話しは、まだまだ続く)
署轄の人がやられた。
あまりにも夜間、事務所がやられるので、警戒チームを組織し、パトロールしていた。
午前2時を過ぎたころ、ビルの前に男が立っている。こんな場合挙動をよく観察していると、盗賊の見張りであることがわかる。仲間は犯行を敢行中。
そして、事務所に突入したところ、中にいたやつがいきなりパールを振りかざし、殴りかかってきた。その人は、とっさに腕を上げ、頭をかばった。が、バールはかばった腕にあたり、骨折。
何人か逃げたが、うち一人だけ何とか捕まえた。
やつらめ、許せん。