話はそれるが、
最近になって、坂井三郎という人の「大空のサムライ」という文庫を読んだ。彼は第二次大戦をゼロ戦のパイロットして活躍、運良く生き残った。この本、素人が素人向けに書いた本なので大変読みやすい。彼はこの本以外にも計5冊のシリーズを出しており、全本買って読んでしまったが、海軍入隊から始まり、ヒコーキの訓練模様、ゼロの空中戦等、大変興味深い内容であった。
ゼロの最大の武器は、その航続距離にあった。東京から屋久島までの距離を飛んで空中戦をやり、東京まで飛んで帰ってこれるという航続距離。実際その航続距離をいかした作戦がけっこうあったらしいが、こっちは九州まで行くのに、ちょー疲労状態なのに、昔の人は更に命を懸けた空中戦をやって、今来た道のりを帰って行ったのだから、すごかったと思う。
「気力さえあれば何でもできる」の考えが、そのうち物量の差にはかなわず、敗戦へと傾いていくことになるのだが・・・。
話は戻って、
次のレグはドクターOさん。
とにかくカラダがでかい。機長席に座ったOさんを後ろから見ると、まるでクマが運転しているよう。
そういえばスターウォーズのキャラに、でかいイヌだかクマだかのコパイがいたが、あんな感じで、Oさんがちょっと引っ張ると操縦桿が引っこ抜けてしまいそう。
とても職場で顕微鏡のぞいて、人間縫ってるとは思えない。指先は器用なんですね〜!!
南紀では給油もせずトイレだけして、すぐに離陸。目指すは高知。
海上はとにかく視程が悪い。水平をAI見ていないと保持できない位。
外を見ても外がよくわからないので、外を見るより夢を見ようと、私は後ろの席でウトウト。
気が付いたら四国の海岸に沿ってセスナは飛んでいた。
高知空港は海岸に面し、周りは平野(というか、畑)。人家は少なく農道空港のジェット版みたいなところだった。Oさん、TGLをやるとのこと。2回目のタッチダウンでフルストップ。
エプロンに入り、給油カーを呼びました。
セスナ君にたらふくメシを食わせたあとは、次は人間の番。高知に来たら、かつおのたたきをくおうと話が決まっており、目指すはかつおのある食堂。
食堂に入ると、海保のYS11パイロット軍団がかつおのたたき定食をくっていた。
こっちも負けじとかつおのたたき定食。定価1500円也。私の日常生活では、とてもこんな高いもん、食えない。こんな時だけささやかなぜいたく。
活きのいいかつおを食った後は、Nさんの出番。
数日前に急きょ九州行きを宣告されたNさんにとって、1日つぶれたのは仕事の疲れを癒すいい1日になったのか、それとも不運だったのでしょうか。
食べた後は自然現象で眠くなる。ヒコーキの心地よい揺れ。子守唄のようなエンジンの響き。高知離陸後、Nさんを除く3人はしばし、うつらうつら。
海の上はあいかわらず視程が悪い。すかっとしたフライトがしたかったが、天気ばかりはどうしようもない。
大分が近付くにつれ、NさんはILSアプローチをやってみるとのこと。
ホントはNさん、計器の表示にILSを入れて、普通のブイで下りるつもりだったらしいが、教官にその意思が伝わらず、教官が大分にSimulated ILS アプローチを要求する。
大分に近付くにつれ、ローカライザーとグライドスロープの針がピクピク動き出し、ファイナルターンで針は十文字。
10マイル以上も離れた先にランウェイのストロボがオイデオイデしている。ずーっとずーっと先に滑走路が見えているのもおもしろい。ただひたすら降下直進。
そしてNさん、パスを変えないよう減速、フラップダウン。う〜ん、うまい!!
みごとなILSアプローチ&タッチダウンでした。
大分といえば別府温泉。教官がぜひ温泉モクモク状態を見せたいというのでレンタカーを借り、そそくさと車に乗り換え、レッツゴー。高速をつっぱしる。
それにしても、今回のフライトで感じたのだが、大分の高速道路だけでなく九州にはきれいな高速がたくさん走っている。その反面、車の量は極端に少なく、道路をつなぐ先には小さな集落しかなかったりする。こりゃ絶対赤字道路だね〜。最近、ちょうどニュースで道路公団やらなにやらとさかんに騒いでいるが、住んでいる人には悪いが、ホントに無駄なものを作っているような気がする。そういえば、道路だけじゃなく新幹線も作っていたところもあった。もともと政治に無関心の私としては、果たしてそれがいいのか、悪いのかの議論は避けることにしているが。
別府のモクモクに着き、温泉情緒にひたる。私はカナガワの人間だけど、箱根の温泉でもこんなにすごくない。地面から湯がゴトゴト。白い煙がモクモク。硫黄のにおいがツーン。日本の情緒を感じたが、聞けばだんだん観光の足が落ちてるらしい。時代の流れなのでしょうか。
もともと今回のテーマは、「成り行きで行く九州フェリーの旅」。
旅館もルートもろくに決めなかった。(一日出遅れたのは、そのせいかも・・)
大分では、別府温泉に泊まろうということになっていたが、その日暮らしのフライトだったので、九州に強い人脈をもつ教官のおかげで「潮騒の宿 清海」ホテルをとってもらったが、このホテル、大正解。
相場より安く、露天風呂有り、食い物はうまい。食って、飲んで、いつしか4人、和室で布団を並べ夢の中へ。。。。