と、一夜明けて、8月20日。
(出勤の習慣で、いつもの5時・・分に起きる自分がキライです。)
目覚めと同時にテレビのスイッチオン。
とりあえず4チャンネルの「あさてん」。
予報はやっぱよくないなあー。
台風に追われてるって感じ。でも、日本海側は、晴れマーク。
窓を開け空を見ると、3000フィート位に層積雲系の雲が、がっちり。
それでも、雲の隙間には青空が見える。
部屋の中でじっとしてられず、運行部に降りていき、ウェザーチェックを始める。
Iさん、教官もいつぞや姿を表す。
その時、ん?? と思い振り返ると、「あーー!!!バニーちゃんだー!!」。
そうです。休み返上で見送りに、バニーちゃんが来てくれました。前回、黒の網タイツのバニーだったが、今回は真っ白。白も似合うねー。耳はその場で作った紙製。
Tさんも姿を現し、荷物をJA3938に詰め込む。
この機体は記念すべき機体。CABのチェックが、この機体だった。この機体、結構クセがあった。ストールから回復するのにへんにスピンに入ろうとする。まるでじゃじゃ馬。
準備を進めるうちに、北の方の雲が開けてきた。行くなら今。との教官の掛け声に、エプロンに移動。
そうそう、この日のために新兵器を準備した。
それは、ヘッドセット。
セスナはエンジン音がうるさく、隣と話すにも大声を出さないといけない。
訓練中には、教官に何をおこられているか、わからないこともあった。
ましてや、後ろに乗った人と話しができないと、楽しさも半減する。とばかり、ヘッドセットとインターコムを搭載することに決めていた。(このもくろみは、大成功だった。)
そして、バニーちゃんを囲んで、記念撮影。(この写真が、生涯最後の写真になりませんように)。
外部点検から始める。(こんなもんで、ホントに北海道に行けるんかなー)。
そしてエンジン始動。
ランナップでエンジンふかしたと同時に、マナーモードにしていた携帯がブルブルした。携帯の画面表示を見ると、なんだ、うちの会社からじゃー。ここは、ばっくれるのが一番。電源をバシッと切る。
さあ、行くぞー。
重いためフラップ10度。
RWは14。
ボイスを入れ、スロットル全開。
おもーいセスナが動き始める。
しかし、なかなかスピードがでない。
やばー、オーバーランしたらどうしよう。
と、スピード計とにらめっこ。
重いとこんなに加速しないもんだとは、初めて知った。(勉強はしていたが・・・)
ようやく55kt。それでも、もっと加速しながらゆっくりローテーション。
浮いた、浮いたー。
上昇を続けながら右ターン。
北側は雲が切れ、その上には青空がこんにちは。
ヘディングを「佐渡」に向ける。
それにしても、上昇率は悪かった。上昇がこんなに遅いと山にぶつかっちまう。
とにかくフルパワーで、最良上昇率のスピードに合わせる。
この状態で20分位は飛んだだろうか。
8500フィートでレベルオフ。
いつぞや下は、まっ白い雲ががっちり。雲海の上に出た。
地面は何も見えない。遠くの方に、雲より高い山が、ぽっかり顔を出す。
あとで教官に指摘されたのだが、まったく地上が見えない状態。つまり推測航法も地文航法もできない状態。
これは、計器飛行方式のほかに何ものでもない。
つまり、航空法の規定により、110kmと30分うんぬんの規定にひっかかってくる。
手順においては、地上が見えなくなった時点でタイムチェックし、15分間その状態が続くようならユーターンして反方位で引き返さなけりゃならない。
法律ではさんざん勉強したつもりが、こんな状態が計器飛行方式になるとは、考えもしなかった。
雲海は続く。新潟のVORも、佐渡のADFも、キャッチできない。DGだけが頼り。
(風に流されたらどうしよう)
どうゆう訳か、はるか遠く横須賀のVORが受信できた。DMEで見ると、GSが110KT以上出ている。
コースは、横須賀VORで確認すると、若干右に流されている。つまり強い南西風。(北東風を予想していたので、こりゃもうけもの。)
そして数十分。
先の方で、雲が途切れているように見えて来た。
その場所が近付いてくると、そこには日本列島を南北に走る山。
その山が雲の行く手を止めていて、その先の新潟は、雲ひとつない快晴だった。
新潟のATISを聞くと、CAVOKを出していて、しかも視程は20キロ。
ロングナビ日和だねー。
新潟のVOR、佐渡のADFも入感。
ヘディングを佐渡のADFに向ける。
そして、うっすら向こうには海岸線。
ありや、日本海だよー!!ついに来たねー!
海の向こうに、雲が固まっているところがある。
教官、あれを指さし、「あれがきっと、佐渡ですねー」
佐渡にはレディオもなく、降りる時には新潟タワーを呼べと書いてある。
そして、周波数を切り替え、佐渡ローカルで一方送信しながら、降ろとなっている。
海岸線が近づくと新潟タワーを呼んだ。
すると管制官、新潟アプローチに周波数を変えろと言う。
新潟アプローチとコンタクトしながら、海岸線を突破。
はっきり、くっきり見えて来た佐渡にアプローチ。
佐渡まで10マイル地点で周波数を再度新潟タワーに切り替え、ランディングインフォメーションを要求する。
すると、タワーの管制官、風を送ってくれただけで、ランウェイは自分で決めろとのたまう。法律的には確かにその通りだけんど、不親切なやつじゃ。お役所役人め。
風向きから、RW10に決定。周波数を変え、佐渡ローカルで一方送信しながら滑走路にアプローチ。
北側のパターンは、山側になるから使わない方がいいと書いてあったが、南から来たので、いったんオーバーフィールドし、そのまま北側のパターンに入る。
この空港、ベースターンのすぐ後ろには、山がせまっている。
ぶつかりそうで、早めのベースターンになってしまう。
距離がない分、高めのファイナルターン。
パワーを絞ると重いせいか、いっきに沈み、オンコース。
パピにパスを合わせながら、パワーカット。
そしてタッチダウン。
いい感じ。
エプロンには、誘導のおっさんが出てきて、誘導してくれた。
エンジンカット。
まずは おつかれさまー。